けなげでおろかなるもの。

「好きにならなくてもいいんです。
　　ただ、嫌いにはならないで下さい」

あんまりにも健気で愚かな発言。
そう返事した自分に呆れてしまう。

好きにならなくていいなんて嘘。
自分を見て欲しくて、自分の事だけ考えて欲しくて、
傍に居て欲しくて、触れていて欲しくて堪らないのに。
　
　
健気なふりしてる、愚かなあたし。
少しだけ接する事が出来たってだけで嬉しくなったり。
Sを少しでも感じられるモノがとても愛しく思えたり。

なんだか滑稽で、笑えてしまう。

でも、本当に些細な事でも嬉しくなるし
心底愛しくて愛しくて堪らないから。
　
　
　
あたしは嘘吐きで、どうしようもなく愚かだけど
きっとSを好きな気持ちだけは、本物なんだと思う。
自分さえ信じられなくなりそうな時も、それだけは。
　
　
　
　
　
「あなたの背中ばかりを見つめてる莫迦なあたしに
　　あなたはきっと気づいているのでしょう？」

「それでも知らない振りをするあなたに、
　　更にあたしは恋焦がれるのです」
　
「愚かだと思っても構わないです。
　　だってそれが私の真実なのだから」
　
　
　
『だから、お願いだから、嫌わないで』